中部大学国際関係学部国際学科模範解答例

問題
日本は豊かになったと言われるが、豊かさの陰には貧困があることを忘れてはならない。日本だけでなく、世界にもグローバルに視野を広げながら、貧困問題を象徴する具体的な社会問題をとりあげ、あなたの考えを800字以内で述べなさい。(中部大学国際関係学部国際学科)

解答
 貧困問題を象徴する社会問題として、グローバルに視野を広げた場合に見られる男女間の格差、すなわちジェンダーギャップをとりあげる。アジアやアフリカなどでは、宗教的な事情もあり、男女間の格差が依然として広がっているままだ。たとえば、女性が外出することに制限があったり、進学にも影響があったりする。こういった状況の下では、男性が経済活動を行い、女性が家庭で束縛されることになるケースが多い。また、女性が十分な教育を受けることが困難な場合には、識字率も向上せず、概して教育水準が低くとどまっていることが多く見受けられる。

女性の社会進出を阻む要素は、各国、各地域で様々だが、これは国家的、ないしはグローバルな経済活動を停滞させる要因になっている。なぜなら、男性と女性が対等な立場で経済活動に参加できなければ、経済を活発化させる人々の絶対数が減少することになるからだ。特に発展途上国においては国民や地域全体が一丸となって経済活動に参加することが、経済全体を活性化することに貢献するはずだが、ジェンダーギャップはそれを阻害する要因となっている。

これらのジェンダーギャップは発展途上国だけの問題ではない。日本などの先進国においてもみられる現象である。たとえば日本では男性が育児に参加するという認識が浸透しておらず、男性の育児休暇の取得率も低くとどまっている。さらに、非正規雇用者に占める女性の割合は高く、シングルマザーなどは貧困状態にあるケースがある。

このようにしてみると、ジェンダーギャップは世界全体においてみられる現象であり、その解消が望まれる。もちろん、それぞれの国や地域において事情が異なるため、一律に当てはめられる仕組みは難しい。そのため、各々の実情に即した形での問題解決が必要であり、時には国際機関による支援も必要となるだろう。

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