和歌山県立医科大学/平成28年前期日程保健看護学部模範解答例

(著作権の都合上課題文は省略)

問1. コミュニティとは何かを説明しなさい。

コミュニティとは、家族とは別に存在する、最も基礎的な組織である。どの民族もほとんどが家族とコミュニティを持っている。コミュニティは、もう一方の基礎的な組織である家族がうまく機能しないときに対応する存在である。それは家族の型の矛盾を解決し得るものである。

問2.なぜ核家族が増えているのか。本文の内容から説明しなさい。

核家族が増えているのは、親子だけで暮らすほうが、自由で「現代的」でよいとみなしているからである。

問3.「伯父」と「叔父」の使い方について説明しなさい。

「伯父」と「叔父」は、父母などの第二世代の男性の呼び方である「オジ」を漢字で書いたもので、血のつながりの有無、年齢の上下によって使い分けられる。

問4.下線部aについて、本来の機能とはどのようなものかを説明しなさい。

本来の機能とは、第一世代であるおじいさん、おばあさんが担っていた機能である。この機能は大きくは「経験」と「労働力」の二点にまとめられる。前者は、第一世代は、第二世代が持っていない子育てのノウハウが中心である。また、後者は、第一世代であるおじいさん、おばあさんは、戸主夫婦を手助けする貴重な労働力としての機能であり、子育てや家事などの役割を担っていた。

問5.下線部bで筆者が述べるように、今後のコミュニティのあり方についてあなたの考えを述べなさい。

そもそもコミュニティとは、筆者が述べるように、家族と並ぶ社会の最も基礎的な組織である。コミュニティは、家族が機能しなくなったときにそれを援護する存在であり、社会にとって必要不可欠な存在である。しかしながら、現在の日本においては、日本全体としての人口減少、都市への人口集中、単身世帯の増加、地域の活動への無関心などが重なり、コミュニティ自体が弱体化し、解体している状態にある。これは社会の基礎的な組織の解体を意味し、ひいては家族の機能不全も引き起こすため、看過できない問題である。この問題を解決した上で、コミュニティは何らかの形で存在しなければならないと考える。コミュニティが存続するには、都道府県、市町村といった「公」の部分が大きな役割を果たしえる。これまでは、家族の自助努力による「自助」、コミュニティの構成員同士の助け合いによる「共助」により社会が成り立ってきた。

しかし、現状を鑑みると、行政がコミュニティを援護する「公助」という働きかけが不可欠であろう。たとえば、公民館を活用したり、公営住宅を交流施設に一部改装したりすることにより、場所を市民に提供し、異なる世代が交流するスペースを提供することが挙げられる。こういった行政の施策によって、第一世代から第三世代までが互いに助け合う場が出現する。そして、各世代がもっていた機能が復活し、互いの助け合いが生まれるだろう。このように、現存の家族やコミュニティだけでは補えない部分を行政が補完し、三位一体で日本という社会を構成していくことが、今後のコミュニティの新たなあり方として必要なのだと考える。