東京藝術大学/平成29年度小論文模範解答例

ポピュラー文化と芸術の関係について論じなさい。

解答

現代においては、「ポピュラー文化」という言葉が、さまざまなものや事象を意味するために使われる。「芸術」についても同様である。では、そもそも「ポピュラー文化」や「芸術」とは何か。次にそれらの点を明らかにし、その後にポピュラー文化と芸術との関係について述べる。

まず、ポピュラー文化とは、大衆化され、多くの人々に受け入れられている文化のことであると私は考える。例としては、アニメやマンガ、音楽、さらにはスポーツなども挙げられるだろう。では、芸術とは何か。私は、自分の中にある思いや感情、思想といったものを、外部へと表現したものが芸術であると考える。絵画や彫刻といったものも芸術の一部であるし、仮に一見理解しがたい形式や内容のものであっても、それが表現者の内面の発露であれば芸術であると考える。次に、これらポピュラー文化と芸術の関係について述べる。

私は、ポピュラー文化と芸術は、互いに重なる部分もあれば、重ならない部分もある関係にあると考える。なぜなら、先にも述べた通り、大衆化され多くの人々に受け入れられているものがポピュラー文化であることから、芸術の中で、ごく少数の人々にしか理解できなかったり、もしくは誰にも理解できなかったりする作品については、ポピュラー文化とは言えないと考えるからである。つまり、芸術であり、かつポピュラー文化であるものもあれば、ポピュラー文化でしかないものもあるし、芸術でしかないものもあるということだ。例えば、自分の思想を表すために小説を書いたが、それが誰にも受け入れられなかった場合、それは芸術ではあるが、ポピュラー文化ではないということになる。なぜなら、思想の表明という点で芸術だが、大衆化しない点ではポピュラー文化ではないからだ。

以上のように、ポピュラー文化と芸術との関係についていえば、両方にまたがるものと、そうではなく片方にしか属しないものがあると考えることができる。

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