福岡大学医学部医学科/平成27年度小論文模範解答例

自分たち自身に決定権があるということは、自らの生活や人生を自分の手でより良いものにできるという、「自由」と「希望」を持つことができることだと私は考える。課題文では、自由度が大きいと認識した入居者の方が死亡率が低かった。この実験結果が示唆しているのは、そういった入居者の方が、そうでない入居者よりも自由と希望を持てたということであろう。つまり、自分の生活や人生に選択権があればあるほど自由であることはもちろんのこと、より良い毎日のために努力しようという努力を積極的にするようになり、健康につながるということである。

「病は気から」という言葉がある。近年になって、心の状態、すなわち精神状態が、その人の身体の状態に影響を与えることが明らかになってきている。精神状態が悪いと、病気にかかりやすくなり、それによって精神状態がさらに悪くなるという悪循環もあるだろう。逆に、精神状態が良好であれば、病気になるリスクが少なくなるということだ。それならば、たとえば医師が患者の生活を管理するということになっても、あくまで主体は患者にあるという意識を、両者が共有することが重要となってくるだろう。医師をはじめとする医療関係者に必要とされるのは、医師としての職責はもちろん、患者目線で物事を考えることだ。患者の主体性を尊重し、それをもって患者自身の健康につなげていくという発想が、これからの医療には求められると私は考える。

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