久留米大学医学部医学科/平成26年小論文模範解答例

テーマ

「時代を見据えた理想の医師像」

解答

現代において、日本社会は高齢社会と呼ばれるようになり、人口も徐々に減少傾向にある。健康上の問題がない状態で日常生活を送れる期間、すなわち健康寿命をできるだけ長くし、健やかで生き生きと働き、生活することが、国民としてはもとより、社会的要請としても増してきている。そのような中で、どのような医師像が理想たりえるのであろうか。

まず、「医師としての職責」を常に意識していることが必要であると考える。「医師としての職責」とは、医学、医療の専門家であり、人の命を預かるものとしての矜持と責任感を常に有しているということである。命の尊厳を常に意識し、一人ひとりに真摯に向き合う姿勢が求められるだろう。そうすることによってはじめて、患者にとって最良の判断を下すことができるのだと考える。

また、「患者の目線に立って治療を行う」ということも欠かせない。いかに医療に関して知識が豊富で医療技術の手腕が卓越していたとしても、患者の目線に立っていなければ、独りよがりの医師になってしまう。医師が向き合うのは患者一人ひとりであり、それぞれの患者の背後には、その家族や保護者という様々な関係者がいる。その患者本人や家族及び保護者が、今後の人生や生き方についてどう考えているのか、それを探っていく姿勢が必要不可欠である。そうしていくためには、コミュニケーション能力を駆使するのはもちろんのこと、相手の話に耳を傾ける姿というものが求められる。

このような、医師としての職責を有し、患者の目線に立って治療を行うことにより、患者にとって最善の治療を実施し、日本社会にも貢献していくことが重要であると考える。目の前の患者はもとより、少子高齢化を迎える日本社会に対して、医師としてどう向き合っていくか、それを常日頃から考えている医師の姿、それが理想の医師像と言えるのではないだろうか。

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