久留米大学医学部医学科/平成27年小論文模範解答

テーマ

「高齢化社会における医師の役割」

解答

日本の高齢化率は、世界で類を見ない高さにまで上昇していると推定されている。統計では、26.7%が高齢者であり、2026年には39.9%にまで上昇すると推計されている。このような高齢化社会においては、経済面や財政面などで多大な影響を日本全体に及ぼすと考えられるが、そういった社会において、医師の役割とは何なのであろうか。

まず、高齢者に寄り添い、支えていくということが挙げられる。国民の四分の1が高齢者になる社会において、彼らを健康面から支援することは、医師として当然のことであろう。高齢になると、人は誰しもが体の不調を訴えるようになる。そういった不調の原因を探り、病気に関して熟知した上で治療していくことが、専門家として必然的に求められてくる。

また、「健康寿命」を長くすべく努力することも不可欠だ。「健康寿命」とは、健康上の問題がない状態で日常生活を送れる期間のことである。こうした期間が長ければ長いほど、人は健やかで心地よい生活を送ることができる。そして、健康寿命を長くするには、高齢者とされる年代になる前から、病気にならないような予防的措置をとっていく必要がある。すなわち、予防医学の考え方である。一旦病気になってしまうと、その患者の生活の質(クオリティ・オブ・ライフ)は下がってしまう。それに加えて、高齢になればなるほど、免疫力や抵抗力が弱まり、合併症などの危険性も出てくる。したがって、青年期や壮年期から、食生活や生活リズム、また適度な運動について、医学的見地から、人々に助言をすることが必要である。

このように、高齢化社会において、医師には、病気に罹患していない段階から、医学的な助言をし、いざ病気となったら医療的処置を施すというような、切れ目のないサポート体制を築いていくことが求められるだろう。それが、今後の日本社会に必要な医師の姿と考える。

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