獨協医科大学小論文(2023年度2月12日実施分)模範解答例

問1

科学は絶対的なものではない。科学的な事実は存在するとしても、科学的な事実に対する推論は真理ではない。「科学的推論」は間違っている可能性をもっている。真に科学的であるというのは、科学的推論に、反証されうる曖昧さが残っていることを認める姿勢である。そして、科学的に確実なことを求めて疑い、検証するのである。全てのことは蓋然性の問題だと考えることは推測であって真理ではないということが大切である。(195字)

問2

 社会には「科学的」とされるものが数多く存在しているが、それらのうち、「事実」と「推測」を切り分けることが重要であると考える。確かに、気温が上昇している傾向があるという「科学的事実」は存在するが、その事実の説明、すなわち「科学的推論」は真理とは言えない。むしろ、科学的推論には常に間違っている可能性が含まれている。そのため、科学的推論を無批判に信じ込んで行動に移すことには危険が伴う。医師が日常的に患者を診察し、治療を行う際にもこのことがいえる。標準的な治療法が確立しているとはいえ、患者によってはその治療法が当てはまらないことがある。なぜなら、その患者に障害があったりアレルギーなどがあったりすると、利用できない治療法があるからである。そのため、医師の治療の際にも、絶対的に正しい治療法があると考えるのではなく、それぞれの患者について詳細に検討したうえで、適切な治療を行うべきだと考える。(394字)