昭和大学医学部2019年度小論文模範解答例

<2月3日実施分>

問題

政府は2017年働き方改革実現会議を首相官邸で開き、長時間労働の是正や同一労働同一賃金の導入を盛り込んだ実行計画をまとめました。医師の労働時間は職種別で最も長いといわれています。総務省の調査では過労死ラインとされる月80時間を超えて残業する人の割合は全体で14%に対し、医師は41.8%でした。(朝日新聞2017年9月10日)。医師には医師法で定められた診療を求められたら拒めない「応召義務」があります。

医師の長時間労働を改善するにはどうしたらよいか、あなたの考えを述べなさい。(600字)

解答

 長時間労働は、医師への精神的・身体的な負担となる。それが過剰なものとなれば、心身のバランスを崩すこともあり得る。これは医師が提供する医療の質を低下させる原因ともなるため、早急な改善が必要不可欠である。次に医師の長時間労働を改善するための考えを述べる。

 まずは、チーム医療の推進が求められる。チーム医療とは、医師をはじめとして看護士や検査技師などが協力して、一人の患者に向き合い治療を行うことだ。確かに医師には応召義務があるが、看護師など周りの医療スタッフが分担できる業務はある。たとえば、患者の精神的なケアや日々の見守りは協働してできる。一人の医師に多くの業務を任せるのではなく、多様な医療スタッフがそれを分掌していくことが重要だ。

 加えて、全体としての医師の総数を増やすことも考えられる。医師法で定められている通り、医師にしかできない医療行為は他の職種と分担できないため、医師の負担が大きくなることは避けられない。しかし、医師の総数が増えるならば、医師一人あたりの患者数が少なくなることになる。これにより、患者に寄り添った医療措置ができるとともに、医師の負担も大幅に軽減されることになる。もちろん、専門技術と確かな知見をもっていることが医師には求められるため、安易な医師数の増加は避けるべきだ。あくまでも、医師としての資質を担保した上での措置が必要だ。

 以上により、医師の長時間労働は改善されると考える。

(600字)