問1
言語というデジタル情報のアナログ化(17字)
問2
言葉によるコミュニケーションの限界として、自身が感じて知覚している情報を言葉という形式でデジタル化する際に、言葉では表すことのできなかったあいまいな感情を相手に伝えるのが困難であるという点がある。言葉というデジタル化された情報の辞書的な意味だけを読み取るのではなく、デジタル情報のすきまから漏れてしまったはずの相手の思いや感情を自分の内部に再現する努力が重要である。(183字)
問3
医師のような職業において、人とのコミュニケーションをとる際に、その人が言葉では語ることができなかったあいまいな感情や思いをくみ取り、適切な処置をするのが重要であると考える。医療の現場では、医師と患者の関係といった、もっている情報がお互いに異なる人が関わることになる。そうすると、患者が自分の思っていることを適切な言葉で伝えられなかった場合に、本来は望んでいなかった治療や投薬を受ける可能性が存在することになる。そのため、医師のような職業は、患者が欲していることはどういったことなのか、患者の心の奥底で求められていることは何なのかを観察する努力を続けなければならないだろう。患者が言葉にする症状や病状をカルテにまとめ、それらをもとに処置するだけでは、患者の感情や、表したくても表せない感覚を無視することになる。言葉というデジタル情報に頼ってしまい、医療において本来必要となるはずの、患者を中心とした医療が出来なくなる恐れがある。こうなると、様々なバックグラウンドと価値観をもった、それぞれの患者に対して適切な医療上のアプローチを行うことができなくなる。病気や怪我が治っても、患者としては自分の思いをくんでもらえなかったという不満や不信感も募るだろう。こうした事態を避けるためにも、医師のような職業に従事するうえでは、患者の言葉だけでなく、表情やしぐさ、まなざしなどを観察し、心の中にある思いを察知することが求められると考える。人とのコミュニケーションとは、デジタル情報だけでなく、アナログ情報も踏まえて実行されるものであるから、患者を総合的にみて、医療上の処置をしていくことが必要だ。そうすれば、医師と患者の間のコミュニケーションがうまくいき、患者が納得のいく人生を送るきっかけともなるだろう。
(746字)