問題
子宮頸がんワクチン接種における積極的推奨について、「賛成」、「反対」、「どちらでもない」から一つ選び、理由として答えよ。
解答例
子宮頸がんワクチン接種とは、子宮頸がんを引き起こすヒトパピローマウイルス(HPV)への感染を予防するワクチンを接種することである。このワクチン接種の積極的推奨について、私は「どちらでもない」という立場をとる。「賛成」、「反対」、「どちらでもない」の立場の主張を次に示す。
子宮頸がんワクチン接種における積極的推奨をする立場からは、次のような主張がなされる。子宮頸がんの多くは、性交渉を通じてHPVに持続的に感染することが原因で発症するが、ワクチンを接種することによってウイルスへの感染や細胞ががんになる前の異形成をかなりの確率で防げるというのである。これは世界保健機関も支持する考え方である。
一方、子宮頸がんワクチン接種における積極的推奨に反対する立場からは、次のような主張がされる。接種後に慢性疼痛やギラン・バレー症候群などを発現する例が複数報告され、重篤な副作用が見られたというものである。この報告を受け、厚生労働省は一般向けに接種にあたり注意喚起を行った。現在、ワクチン接種による副作用で苦しむ多数の患者が、国を相手取り訴訟を起こしている現状もある。
私が子宮頸がんワクチン接種における積極的推奨について「どちらでもない」という立場をとるのは、次の理由からだ。すなわち、本来ワクチン接種の妥当性や安全性を調査し、その調査結果に責任をもつはずの専門家である医師の間でも意見が分かれているからだ。そもそも子宮頸がん予防ワクチンは、新しいワクチンである。子宮頸がんそのものを予防する効果はまだ証明されていない段階で、ワクチン接種の是非を判断するのは時期尚早といえるだろう。
以上から、ワクチン接種に関して言えば、その結果として生じるメリットとリスクを勘案し、個人の責任で接種を受けるしかないと言える。少なくとも、積極的推奨については、「どちらでもない」として判断を保留するのが現段階での判断として適切であると考える。
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