〈課題文省略〉
「創造性」について、筆者は汎用性がその本質であると述べている。創造性は人間がもつ知能の一部であり、私たちが想像しがちな芸術というものが存在しない段階から備わっていたとする。それは私たちの種を存続させるために備わっていた「適応能力」の一部である知能の一機能に他ならないとする。
「創造性」の重要性について、それは人間にとって、自分自身や周囲の人々がよりよく生きるための要素の一つであったと考える。なぜなら、自分自身や、周りの人々が生きていくにあたって不都合が生じた場合に、その問題を解決しようとするのが創造性の機能であると考えるからだ。そして、問題を解決するということは、変化することを恐れず、自分たちのよりよい生のために行動することである。仮に変化を恐れ何もすることがなければ、たとえば干ばつなどの際に人間は環境に適応できず、現在のような繁栄をすることはできなかったはずだ。自身が置かれた状況下で、いかにすればよりよい生活を送ることができるかを考え実行すること、それが人間がもつ創造性であると言えるだろう。
よりよく生きるということは、生命の危機に瀕した時だけに直面する問題ではない。筆者が述べているような芸術はもとより、宗教や学問においても、人間の創造性は遺憾なく発揮されてきたはずだ。芸術などといったものは、一見種の保存とは無関係のように思えるが、そうではなく、人間が自身の内面を表現し他者に伝えるために必要な行為である。したがって、内面の表出を通じて人間は他者とコミュニケーションをとることができたことの証左でもあるのだ。こうした種の保存のための知能に端を発した人間の創造性は、人間という種を保存するだけではなく、よりよい人生を生きるためにも活用されてきたし、これからもその重要性は変わることはないだろう。(754字)